中村勘三郎さんが亡くなった。
57歳だった。
若すぎるよね。
オレが始めて勘三郎さんにあったのは、彼がまだ15歳。
勘九郎を名乗っていたろで、「勘九郎ちゃん」と言っていた。
映画の松竹を退社したオレに、東宝のチーフ宣伝プロデューサーだった故・黒澤さんが「仕事しない。これから撮影が始まる映画の制作宣伝だよ」と持ちかけてきた。
上司との感情の縺れから会社を辞めてしまったオレには渡りに船。
その作品が、若尾文子さんと故・小林圭樹さん、勘九郎ちゃん(当時)、吉澤京子ちゃんが出演した映画「幻の殺意」だった。
始めて会った勘九郎ちゃんも京子ちゃんも新鮮で可愛かった。
京子ちゃんを取材したスポーツ紙の記者が、本人を前に「君は、聞きしに勝る可愛い子ちゃんだ」と、話しかけた姿が思い浮かぶ。
で、この勘九郎ちゃんと京子ちゃんが、映画の中で恋人を演じた。
オレと黒澤さんは、宣伝で「初共演のふたりは仲がいい。仕事以外でもあってるらしいよ」という話を作ることにした。
乗ってくれた芸能週刊誌もスポーツ紙もあった。
最初は、あくまでも話題作りだった。
しかし、この話が、現実のものになっていく。
そんなに長い撮影期間じゃなかったが、撮影が終了するころには、ふたりの心に恋が芽生えていたんだ。
当時は、まだ携帯もない時代。
どうやって連絡が始まったんだろう。
数々の浮名を流した勘三郎さんの最初の熱愛だった。
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