この日のゲストは、「やる気節」を歌うやしまひろみさん。
福岡の友人・沢柳則明さんが「3無い歌手」という「金無い・若くない・美しくない」の55歳。
静岡・湖西生まれ。
浜名湖の西で育った。
子供の頃から歌が大好きだった彼女は、NHK「のど自慢」に2度挑戦して、どちらも鐘2つの実力しかなかった。
それでも歌手になれた。
「悔しくって、歌のレッスン通いました。子供の頃からに夢でしたから」と。
通った成果は、レッスンの先生が進めてくれた自主出版でのCD発売。
当時はレコードだったかも。
歌手になれた嬉しさで、夢中でキャンペーンを続けた。
自家用車にレコードとテープを積み込んで、日本全国を廻った。
北は北海道から南は鹿児島まで。
20万キロ以上、自分で運転してキャンペーンを続けた。
しかし、何処まで行っても自主出版。
売れる枚数は決まってくる。
また新しい曲を出してはキャンペーン。
気が付いたら、父親のみかん畑をほとんど売っていた。
家族ぐるみで、彼女を応援していたのだ。
年老いお父さんは、まだ、細々とみかんを栽培していると言う。
「お金ばっかり使っても一向に芽がでない」と、挫折したこともあったようだ。
「歌手を辞めたこともありました。その頃に出会った人と結婚したんですが、借金の多い人でしたが、亡くなってしまって。それで、再び、マイナー歌手になったんです」と、笑いながら話していたが、ホントは苦労で大変だったのだろう。
「もうお金がなくなって」と、地味に地味に歌手活動を続けてきた。
食べるためと言うわけじゃない。
これしかなかった。
「そんなときに昔知り合っていた沢柳さんに出会ったんです。『メジャーでやってみるか。自分を帰ることが出来るか。サポートしてあげるけど、2年で芽がでなかったら歌手を廃業だぞ』と言われ、お世話になることに決めました」。
昨年の春だった。
沢柳さんが、大手レコード会社・クラウンに売り込み、メジャーデビューが決まった。
オレと週刊女性の荒木田範文記者とで、福岡から徳山にゴルフに行ったことがあった。
友達の歌手で「黒いサルビア」(発売30週で有線1位になった珍しいケースの歌)を歌う野上こうじくんのキャンペーンを応援しに行ったことがあった。
その博多から徳山に向かう新幹線に、沢柳さんは、やしまさんの連れて乗り込んできた。
「何もとり得の無いおばさんだけど、最後のチャンスをあげたいんだ」と紹介した。
そして、新幹線の車内で「やる気節」を歌えと注文した。
「良いですよ。改めて聞きますから」と言ったって、沢ちゃんは聞くような人じゃない。
やしまさんに「歌って聞かせてみなよ」と急かす。
小さな声で歌いだしたやしまさん。
「そんなんじゃ分かってもらえない。ちゃんと声を出して」と。
沢ちゃん流の叱咤激励だ。
実はこの曲、沢ちゃんがマネージャーを務めていた九州の超人気者・ばってん荒川さんにために用意した曲だった。
そのばってんさんが亡くなってしまい、沢ちゃんが大事にしまっていた曲だったのだ。
ふたりは、良いめぐり合いをしたと思う。
韓国釜山の日本人学校を応援し続ける沢ちゃんは、福祉活動にも熱心な人で、やしまさんをメジャーデビューさせたのも福祉活動(?)だったわけじゃないと思うけど、彼女を連れて、26日に、茨城・常総市を訪問する。
鬼怒川決壊で大被害にあった町だ。
釜山の日本人学校の生徒達の寄付金と応援メッセージ、それに沢柳さんの義援金。
市長とも面会するそうで、オレの付き合うことになった。
「ビンさんの寄付も用意しているから」と言われたけど、義援金を出してもらっちゃいけないでしょう。
で、沢ちゃんとめぐり合ったやしまさんの曲が一枚でも多く売れることを願いたい。
彼女の「やる気節」には、名女優・市原悦子さんの19分に渡る豪華な朗読も付いている。
沢ちゃんと市原さんの不思議な関係もいつかしっかり書いて見たいが、「やる気節」を買うと市原さんが付いてくる。
ホントは、市原さんの朗読CDを買うと、やしまさんの歌が付いてくるという事じゃないのかな。
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