この日のゲストは、新曲「挽歌の岬」を歌う松前ひろ子さん。
昨年のNHK「紅白歌合戦」に初出場した三山ひろしさんの師匠だ。
カップリング曲は、その三山さんとデュエットしている「うきぐさ姉弟」。
デビューして47年目を迎える松前さんにとって、三山さんの「紅白」出場は、大きな喜びでもあった。
歌手を目指して高知・南国市から上京した三山さんが、従業員募集広告を見て飛び込んだのが、松前さんが東京・青山で開いているシアターレストランだった。
「“夜だけの給料では食べられない、昼間コンビにであるバイトします”と相談され、私の事務所で良ければと働いてもらうことにしたんです。歌も美味かったし、歌手を目指していると言うのも聞いていましたから」と、三山さんは松前さんのマネージャー兼運転手も経験。
「デビュー前から、私のステージで歌ってもらっていたんですよ」と言っていたが、松前さんのディナーショーでは、ステージ用に毎年和服も作ってあげていたのをオレは知っていた。
松前さんは、息子のように可愛がっていた。
だから、松前さんのファンも、自然に三山さんのファンになって行ったようだ。
松前さんが両親の反対を押し切って北海道知内から上京してデビューしたのは1969年だった。
北島三郎さんの従妹として脚光を浴びたが、2年目の交通事故で声をなくしてしまった。
歌手は無理と考えた北島さんが「結婚を考えろ」と、紹介したのが、いまのご主人で作曲家の中村典正さんだった。
「歌手は諦められなかった」という松前さんは、作曲活動でご主人が弾くピアノの側で、声が出ることを願い続けた。
奇跡が起きる。
声を失って8年。
声がよみがえったのだ。
「歌っていられる幸せ。80歳になる主人に感謝です。主人の弟子の三山くんも『紅白』に出られたし、これからも主婦と歌手とお店のママとして頑張って行きたい」と言った顔が、ホントに幸せそうだった。
「人との縁、結びつきの大切さを感じています」という松前さんは、新曲が発売されるたびにカラオケ大会を開いている。
「新曲を歌っていただいて。9月24日が決勝大会。優勝した人には、私のディナーショーで、バンド演奏で歌ってもらいます」と言っていたディナーショーは、11月22日に新高輪プリンスホテルの飛天の間で行われる。
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