銀座8丁目にある友人の会社はビルの6階。
エレベーターは最上階の9階で止まっていた。
電話をすればよかったのだが、階段で向かうことにした。
六階にたどり着き、そこで、戻れば問題が無かったが、一つドアを越えてエレベーターホールに出てしまったのだ。
その扉は、中からは開くが、外からは開かない作り。
部屋には入れ ないが、エレベーターホールには出られる仕組みだった。
そこで、社内が真っ暗だったことに気が付いた。
入り口に置かれた内線電話とかけるが、コールだけ。
誰もいない。
鍵の掛かってしまったエレベーターホールに閉じ込められてしまったのだ。
携帯は繋がらないし、電池が残り少なくなってくる。
金曜日と言うことを考えると、月曜日まで誰も来ないことが考えられる。
悲しくなってくる。
地震とは違う恐怖も生まれた。
社長の友人で、アドレスの分かる人にメールを送ろうとするが、なかなか繋がらない。
遅れても返事が無いから繋がらないのか。
時間だけが経っていく。
30分、1時間、1時間半。
もうほとんど電池が無い。
ホテルでワンセグでテレビを見てしまったことを後悔した。
したのほうで、かすかに話し声が聞こえた。
オレは必死に叫んだね。
「助けて~」と。
その声を聞いた人が声をかけてくれた。
「エレベーターですか?」と。
「違います。6階のエレベーターホールです」と、そりゃ、夢中でした。
鍵の掛かったドアを開けられたときには、ホントに助かったと思ったね。
3階に着物屋さんが入っていて、着付けに来たホステスさんが、従業員と会話していた話し声だった。
ビルを出て1分。
行く当てもなく歩き出したら、1本の電話。
これが最後に残された電池。
「どこにいるの?」という友人の社長の声。
20メートル先にあった彼が経営するクラブで会うことにした。
オレが奥さんに送ったメール内容が、繋がらない状況の中でやっと友人に繋がり、オレを助け出しにクラブの黒服が向かわせた途中だった。
声を振り絞って出した「助けてください~」だったが、彼らに助け出されていたかもね。
それにしても、ホステスさんに感謝だ。
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