盗撮とかスカートのぞきなんて記事を目にすると、必ず思い出す出来事がある。
日本テレビが、まだ千代田区麹町にあった時代だ。
友人から「『影武者』に出演した役者なんだけど、リポーターに向いてると思うんだ。使ってくれないか」という話が来た。
かって友人も交えて飲んだこともあり顔は知っている男だった。
頼まれた以上は見習いとして事務所に置くことにした。
そして、数ヵ月後、番組スタッフが、彼を使ってくれるという。
場所は忘れたが、マンションの窓から幼児が落下、奇跡的に助かったという事件だった。
スタジオでのトークは無かったが、リポートは初めてとは思えなかった。
スタッフも「これからも使わせてくださいよ。いいキャラクターだし上手。事件には向いてますよ」と、言ってくれた。
正式に番組制作会社と交渉しなきゃ、と考えた。
その翌日事件が起きる。
芸能デスクがオレの本番中のスタジオに来て「麹町警察署から電話です。内容は石川さんにしか話さないと言ってるんですが。すぐに来て欲しいと」と。
緊急を要しているようだった。
本番が済んだら行くことを伝えたが、気になってしょうがない。
オレが警察に厄介になることはしていない。
警察に行ってビックリしたね。
見習いとして採用しようとした役者が、刑事課の椅子に座ってる。
有楽町線の麹町駅のエスカレーターで、前の女性のスカートの中を覗いて、居合わせた一般男性に通報され逮捕されたという。
手鏡を持っていたことが決めてだった。
本人は犯行を認めたという。
オレが身元引受人になって保釈されたが、警察署の前で土下座して詫びる役者。
冗談じゃないよ。
オレの首も危ない。
こんな男を雇ったんだから。
紹介した友人もビックリして彼を呼び出し激しく詰め寄った。
怒りで手を上げようとした彼。
その俳優とは、それっきり会っていない。
使いたいといっていたスタッフに真実を話すことも無かった。
それから2年。
そのスタッフが、一般紙に載った小さな記事をオレに見せた。
「この男性でしたよね。こんなことしてたんですか」と。
オレだって知らないよ。
札幌で逮捕された俳優は「戸籍貸し」として、フィリピン女性数人と契約結婚していた。
こんな男を使わなくて良かった、と改めて思ったね。
会社社長の友人も「俺は見る目が無かったな。金には困っていたけど正直な奴だった」と言っていたけど、社員として使っていたら取り返しのつかないことになっていた。
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